みなさんこんにちは、SxSの濵田です。
梅雨とは思えないくらい暑い日が続いていますが、体調はいかがでしょうか?
さて。Power Automate を導入したものの、「一部の利用者だけが使いこなし、組織全体に広がらない」、「作成したフローが活用されず、効果が限定的」といった課題を抱えてはいませんか?
業務自動化ツールの真価は、組織全体で活用され、継続的に改善されることで発揮されるものです。
本記事では、IT部門の若手担当者から経営層まで、Power Automate の組織的な活用を推進したい方々に向けて、Power Automate の社内展開と定着を成功させるための具体的な方法を、「虎の巻」として詳しくご紹介します!
1. 活用推進の基盤づくり
1.1 明確な目標を決めよう!
Power Automate の活用を組織全体に広げるためには、まず「なぜ導入が必要か」という、明確なビジョンと具体的な目標を設定することが重要です。
実践ポイント:
- DX推進における、Power Automate の位置づけを明確にしましょう
- 「ペーパーレス化」、「業務の短縮」など、具体的な目標を設定しましょう
- まずは1つ、ワークフローを公開しましょう
1.2 推進体制の構築
活用推進には、適切な体制づくりが不可欠です。
実践ポイント :
- 全社的な推進を担うチームを発足させましょう
- まずは一部門、協力体制を組める部門を見つけましょう
この体制は、小規模な成功を積み重ね、徐々に利活用を広めて行くのに最適です!
1.3 環境整備と管理方針の確立
活用を広げるためには、適切な環境整備と管理方針の確立策定が必要です。
実践ポイント :
- 適切なライセンス計画の策定(誰にどのレベルのライセンスが必要か)
- 説明文の明記や棚卸など、フロー作成・管理のガイドラインを整備
- フローの命名規則やドキュメント化ルールの標準化
- セキュリティポリシーとの整合性確保
これらのルールは、「自由に作っていいけど、最低限のルールは守ってね」というバランスが大切です。
交通ルールがあるからこそ、安全に自由に移動できるのと同じですね。
私たちSxSでは、Power Automateの導入支援サービスもご提供しています。
「どこから着手すればよいか分からない」「社内で進める体制が整っていない」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひこちらのページもご覧ください。
2. 人材育成と知識共有
2.1 段階的なトレーニングプログラム
Power Automateの活用スキルを組織全体に広げるには、段階的なトレーニングが効果的です。
実践ポイント:
- レベル別のトレーニングコース設計
- 初級:Power Automate の概要
- 中級:基本操作とシンプルなフロー作成
- 上級:複雑なフローと条件分岐
- 座学だけでなく、ハンズオン形式で実践的なスキルを習得
- 部門特有のユースケースに特化したワークショップの実施
このように段階的に学べる環境があると、「最初から難しそう」という心理的ハードルを下げることができます。
料理教室で基本から応用へと進むように、少しずつスキルを積み上げていくイメージです。
2.2 知識共有の仕組み構築
成功事例や知見を組織全体で共有する仕組みが、活用推進の鍵となります。
実践ポイント :
- SharePointやTeamsを活用した、知識ベースの構築
- 定期的な事例共有会やコミュニティ活動の実施
- 再利用可能なテンプレートやコンポーネントの共有化
- 質問や相談ができるフォーラムの設置
「知識は共有されてこそ価値がある」という考え方が重要です。一人が100のアイデアを持つより、100人が1つずつアイデアを出し合う方が、はるかに大きな力になります。
3. 効果的な展開戦略
3.1 段階的な展開アプローチ
全社一斉導入ではなく、段階的な展開が成功の鍵です。
実践ポイント :
- パイロット部門での成功事例構築
- 効果測定と改善サイクルの確立
- 成功モデルの水平展開
- 部門特性に合わせたカスタマイズ
「急がば回れ」という言葉通り、最初はゆっくりでも着実に成功事例を積み上げることで、後の展開がスムーズになります。小さな成功体験が、次の大きなステップへの自信につながるのです。
3.2 業務プロセス分析とシステム化候補の特定
効果的なシステム化には、適切な業務分析が不可欠です。
実践ポイント :
- 業務の分析と見直し
- システム化をすべき箇所の検討
「何でもシステム化すればいい」わけではなく、「何をシステム化すべきか」を見極めることが重要です。
例えば、いちいちメールの文章を書かなければいけない部分を自動化したり、ケアレスミスが多発する箇所をシステム化したり、業務効率が上がる、業務上のミスが減らせるといった観点でシステム化を検討するのがおすすめです。
効果の高い業務から着手することで、「システム化して良かった!」という実感が生まれ、次の取り組みへの推進力になります。
3.3 成功事例の見える化と横展開
全社的に成功事例を効果的に共有し、横展開することが重要です。
実践ポイント :
- 成功事例のドキュメント化と標準フォーマット作成
- ビフォー・アフターの効果を定量的に示す
- 部門間の相互学習の場の設定
「百聞は一見にしかず」というように、具体的な成功事例を目にすることで、「自分たちもできるかも」という前向きな気持ちが生まれます。
成功事例は、単なる報告ではなく、次のアクションを生み出す「種」なのです。
4. 持続可能な運用体制の構築
4.1 継続的な改善サイクルの確立
システム化は一度実装して終わりではなく、継続的な改善が必要です。
実践ポイント :
- 定期的なフローの棚卸しと評価
- 新機能の取り込み
「完璧を目指すより、改善を続ける」という姿勢が大切です。
最初から100点を目指すのではなく、70点のものを素早く作り、少しずつ改善していく方が、結果的に高い成果につながります。
4.2 サポート体制の整備
システム化の推進には、ユーザーが安心して活用できるサポート体制が重要です。
実践ポイント :
- 部署内の有識者に相談できる・IT部門に問い合わせられるといった、多層的なサポート体制の構築
- ナレッジベース、FAQ
- コミュニティ、チャンネル
「困ったときにすぐ相談できる」という安心感が、新しいツールへの抵抗感を減らします。
特に初心者にとって、「わからないことを質問できる場所がある」ということは、非常に重要なのです。最適な相談先がどこかは相手によって変わるので、複数のチャネルを提供することが大事です。
4.3 技術的負担の軽減
システム化の定着には、長期的な運用を見据えた技術サポートが重要です。
実践ポイント :
- フローの定期的なチェック
- 廃止予定APIやコネクタの監視と対応
- 重要フローのドキュメント化と引継ぎ準備
- バックアップと復旧手順の整備
「退職者が作ったワークフローが動かなくなってしまった!」や「今まで動いていたのに急にエラーが発生するようになってしまった!」は、Power Automate のワークフローではよく効く話です。
「今は動いているから大丈夫」ではなく、「将来も安定して動くように」という視点が大切です。定期的なメンテナンスを怠ると、ある日突然動かなくなり、業務に大きな影響を与える可能性があります。
4.4 外部パートナーとの連携
社内リソースだけでは対応が難しい場合は、外部パートナーとの連携も検討します。
実践ポイント :
- 複雑なフローの開発支援
- 教育・トレーニング支援
- 運用サポート
外部パートナーは「丸投げ先」ではなく「共に成長するパートナー」と考えることが大切です。最終的には社内である程度の運用ができるよう、技術キャッチアップを計画的に進めましょう。
5. 活用推進のよくある課題と対策
5.1 技術的な壁
「さあ取り組もう!」というときに、見よう見真似で試して、挫折することってよくありますよね。成果が出る前に心が折れて役にたたないと判定されてしまってはもったいないです。
課題:
- 技術的な難しさから利用が広がらない
- 複雑なフローの作成・管理が困難
- システム連携の制約
実践ポイント :
- レベル別のトレーニングプログラムの提供
- 再利用可能なテンプレートの整備
- 技術サポート体制の強化
- 段階的なスキルアップパスの提示
「難しそう」という心理的ハードルを下げるには、「簡単なところから始められる」環境づくりが大切です。
最初から複雑なフローを作るのではなく、シンプルなものから始めて徐々にスキルを高めていくアプローチが効果的です。
5.2 組織的な抵抗
効率化を働きかけても、「元のやり方で馴れているから」、「システムを構築する時間なんか取れない」、「他の部門が利用しているからと言ってもうちは……」という声は、結構上がってくるものです。
課題:
- 「今までのやり方」への固執
- 定形外業務への抵抗感
- 部門間の縦割り意識
対策:
- 成功事例の可視化と共有
- 部門横断的なワーキンググループの設置
システム化の準備中、通常とは異なる業務は確かに発生します。
ただし、システム化の後にどれだけ業務が楽になるかなど、具体的なメリットを伝えるようにしましょう。
5.3 持続性の確保
全社を挙げて「Power Automate を使ってみよう!」と働きかけ、最初のうちはそれとなく利用されていても、「それが継続しないんです……」というお悩みをよく耳にします。
課題:
- 初期の熱が冷めて活用が停滞
- 担当者の異動による知識流出
- 技術的負債の蓄積
対策:
- 定期的なイベントやコンテストの開催
- ナレッジ管理と引継ぎプロセスの整備
- 継続的な効果測定と可視化
- 評価制度への組み込み
「一時的なブーム」で終わらせないためには、継続的な取り組みが必要です。
定期的なイベントや表彰制度などで活用を促進し、効果を可視化することで、「やって良かった」という実感を持続させることが大切です。
まとめ:成功への5つのキーポイント
Power Automateの活用推進を成功させるための5つのキーポイントをまとめます:
- 明確な目標設定:
組織全体で共有できる明確な目標を設定しましょう - 段階的な人材育成と知識共有:
レベル別のトレーニングと知識共有の仕組みで、組織全体のスキル向上を図りましょう - 成功事例の可視化と横展開:
小さな成功を積み重ね、効果を可視化し、組織全体に展開しましょう - 継続的な改善の仕組み:
定期的に作成したフローを見直す運用をルール化し、継続できるようにしましょう - 取り組みやすい環境の構築:
始める人の「難しそう」という心理的ハードルを下げる環境を作りましょう
Power Automate の真価は、一部の専門家だけでなく、組織全体で活用されることで発揮されます。
本記事の「虎の巻」を参考に、貴社での Power Automate 活用推進を成功させ、業務効率化とデジタルトランスフォーメーションを加速させてください。
私たちSxSは、皆さまの Power Automate 活用推進をサポートします。
「どうやって組織に広めればいいの?」「活用が停滞してしまった」など、どんな小さな悩みでもお気軽にご相談ください。一緒に、自動化の輪を広げていきましょう!
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