みなさん、こんにちは! 最近、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉をよく耳にしませんか?DXを推進する中で、「ローコード開発」という言葉も注目されています。
皆さんご存知と思いますが、「ローコード開発」はプログラミングを行わないで、業務アプリケーションやワークフローを構築する手法のことです。
Microsoft Power Platformは、このローコード開発を実現する統合プラットフォームとして、多くの企業で活用されています。
この記事では、Power Platformの概要、主要コンポーネント、活用メリット、導入の際に気をつけること、といった情報を網羅的に紹介します。
Power Platform の導入に関わるあらゆる立場の方にとって、判断や行動のヒントとなる情報をお届けします。
現場での活用を模索する担当者はもちろん、導入の是非を見極める決裁者、技術的な支援を行う外部パートナーにとっても、実践的で応用のきく内容となっています。
Power Platformとは 〜誰でも使える業務効率化ツール群〜
Power Platformは、Microsoftが提供するローコード開発プラットフォームで、業務アプリケーションの開発、プロセスの自動化、データ分析、AIの活用を、専門的なプログラミング知識がなくても実現できる統合環境です。
Microsoftの公式サイトによれば、Power Platformは「あらゆる規模の組織がデータを分析し、アプリを構築し、プロセスを自動化し、仮想エージェントを作成できるようにする、ローコード プラットフォーム」と定義されています
簡単に言うと、「プログラミングの専門家じゃなくても、業務に役立つシステムが作れる道具箱」というわけです。また、ローコードツールを用いたソフトウェア開発を行う人を市民開発者と定義されています。
なんだかかっこいい響きですね!
Power Platformは、以下の4つの主要コンポーネントで構成されています
- Power BI:データの可視化と分析ができるBIツール
- グラフ・ダッシュボード構築で使用します。
- Power Apps:業務アプリケーション開発ツール
- 画面を伴うアプリの開発で使用します。
- Power Automate:処理の自動化ソフト開発ツール
- 画面を伴わないデータの処理、PC操作の自動化ソフト開発で使用します。
- Copilot Studio:対話型のチャットボットの開発ツール
- TeamsなどのチャットUIで利用するチャットボットの開発で使用します
これらのツールは個別に利用することも、連携させて包括的なソリューションを構築することも可能です。
また、Microsoft 365、Dynamics 365、Azure、その他のサードパーティサービスと柔軟に連携し業務の自動化を実現できる点も大きな特徴です。
Power Platformの主要コンポーネント 〜4つの便利ツール〜
Power BI:データ分析と可視化 〜数字を見やすく、わかりやすく〜
Power BIは、様々なデータソースからデータを収集し、分析・可視化するためのビジネスインテリジェンスツール(BIツール)です。
データの読み込みとグラフの作成が主な機能で、レポート作成などの作業にかかる時間を削減することが可能です。
主な特徴
- 接続できるデータソースがたくさんある
- ドラッグ&ドロップでのレポート・ダッシュボード作成
- 自然言語クエリによるデータ探索(「先月の売上は?」と質問するだけ)
活用シーン
- KPIダッシュボードを作成し情報共有を効率化することができます。
- 管理Excelの集計作業からの脱却
- 最新のデータを取り込み自動でレポートを作成してくれるので、集計工数の削減が可能です。
- インタラクティブなデータ可視化の実現。
- 商品Aと商品Bの反応を比較するといった作業をボタン操作のみで実現が可能になります。
Power BIは、データという膨大な数字の羅列を、ひと目でわかるグラフやチャートに変えてくれます。
一度ダッシュボードを構築すると、最新のデータでKPIを確認することができます。
ダッシュボードを作り込むことで、「この商品の売上が急降下しています!」などのアラートをPower BIが教えてくれるようになます!
Power Apps:業務アプリケーション開発 〜自分だけのアプリを簡単に〜
Power Appsは、専門的なプログラミング知識がなくても、業務アプリケーションを開発できるローコード開発プラットフォームです。
PC・スマートフォン上で利用するアプリの開発をM365内で完結することが可能です。 また、Power Appsと組み合わせてDataverseを利用することで高度なデータ活用基盤の構築が可能です。
主な特徴
- ドラッグ&ドロップで開発を行うことができる
- 作成するアプリは、モバイルとデスクトップの両方に対応
- 様々なデータソースと連携して、データ登録、更新、確認といった日々の業務をちょっと楽にするツールの開発ができます。
- モダンなUI部品が用意されているため、スマホ、デスクトップで操作するときに使いやすいアプリの構築が可能です。
アプリの種類
Power Appsで開発するアプリは以下の種類で区別されています。
- キャンバスアプリ:自由度の高いUI設計が可能
- モデル駆動型アプリ:Dataverseのデータモデルに基づく構造化されたアプリ
- Power Pages: 業務用途の Webサイト作成ツール
活用シーン
- スマホを使った現場からの点検・報告アプリ(「設備の不具合をスマホで報告」)
- 経費申請・承認システム(「領収書を撮影して申請」)
- 顧客情報管理アプリ(「お客様情報を出先で確認・更新」)
- 在庫管理アプリケーション(「バーコードをスキャンして在庫確認」)
Power Appsは、データを中心とした形に業務を変革させるDXの第一歩として利用することが可能です。
たとえば、データの管理を行うExcelを直接人が操作すると予期せぬエラーが起こったりします。
そういった際に、データの登録や更新はアプリ上で行うようにすることで、データが破損するなどの煩雑なトラブルが減っていくというメリットがあります。
「プログラミングはわからないけど、こんなアプリがあったら便利なのに……」という思いを形にできるツールなんです!
Power Automate:業務プロセスの自動化 〜繰り返し作業をロボットにおまかせする〜
Power Automate は、業務プロセスを繰り返し実行してくれるの自動化ロボット構築ツールです。
各種クラウドサービスを連携することで業務の自動化を実現する「クラウドフロー」とPC操作を教えて代わりにやってくれる「デスクトップフロー」(Power Automate Desktop)の2種類があります。名前が似ているのでややこしいですね。
主な特徴
- ライセンスの購入だけで利用を開始することが可能
- サーバーの用意等の煩雑な手続きは不要です。
- ノードを矢印でつなぐことで処理を記述することができる直感的ユーザーインターフェース
- コネクタと呼ばれる様々なサービスとの連携ツールが400種類以上用意されている
- AI Builderで最新のAI 機能を組み込むことが可能
- 柔軟な実行条件の設定
- 処理の実行は手動だったり、日時でスケジュール、ファイルの保存、メールの受信といった様々な実行条件を設定することが可能です
フローの種類
Power Automateで開発できるフローは実行環境に応じて区別されています。
- クラウドフロー:複数のクラウド上で完結する処理の自動化をします
- デスクトップフロー:PC操作を伴うデスクトップアプリケーションの自動化をします
- ビジネスプロセスフロー:入社手続きなど、段階のある業務のガイドをするために使用します。
活用シーン
- アンケート回答を自動集計
- 在庫が少なくなった時の通知
- サービスAからサービスBにデータを連携する手作業の自動化
- Power Apps で入力されたデータの加工処理
Power Automateは、家事に例えると、食洗機や洗濯機、ロボット掃除機をDIYできるようなものです。
「毎日繰り返す単調な作業」を機械に任せることで、人間はより創造的で価値のある仕事に集中できるようになります。「洗い物を任せている間に、家族との時間を大切にできる」ように、「データ入力を任せている間に、戦略を考える時間が作れる」ようになります!
Copilot Studio:チャットボット開発ツール
Copilot Studioは、TeamsなどのチャットUIで操作するインテリジェントなチャットボットを作成・展開できるツールです。
主な特徴
- ノーコードでチャットボットを開発
- Power Automateとの連携することで、チャットから自動処理を開始することが可能。
- Teams、Web、アプリに組み込むなど、いろんな場所で使うことが可能。
活用シーン
- 社内ヘルプデスク自動化(「パスワードをリセットするには?」などの質問に自動回答)
- よくある質問(FAQ)への対応(「同じ質問に何度も答える」作業から解放)
- 社内情報検索の効率化(「あのファイルはどこ?」という質問に即答)
Copilot Studioは、業務を手伝ってくれる高度なチャットAIを自分たちで作成することが可能になるツールです。
Power Platformの基盤技術 〜便利な機能を支える土台〜
Power Platformの各ツールを活用するうえで一緒に使用することの多い基盤技術についても合わせてご紹介します。
データの収集基盤として利用するDataverseや、高度なAI機能を提供しているAI Builder について紹介します。
Microsoft Dataverse 〜データの共有倉庫〜
Dataverseは、Power Platformで利用できるデータストレージおよびデータモデリングサービスです。以前は「Common Data Service (CDS)」と呼ばれていました。
専用のデータベース用意することなくアプリの開発を行うことが可能になります。
主な特徴
- セキュアなクラウドデータストレージとして使用が可能です。
- ロールベースのセキュリティ管理を用いた適切なアクセス管理が可能です。
- リレーショナルデータベース機能があるのでアプリのデータベースとして利用できます。
- データの正確性を保つルール設定を行うことが可能です。このような機能はバリデーションと呼ばれます。
Dataverseを活用することで、アプリケーション間でのデータ共有が容易になり、データを中心としたソリューション開発が可能になります。
例えばPower Appsで入力したデータを、クラウドフローで処理してDatabaseに保存する。
保存したデータはPower BIのダッシュボードでリアルタイムに確認するといった、新しい働き方を実現することが可能です。
データの格納先を一元化することは、様々な場所でデータに基づいた意思決定を行うことが可能になるため、非常に重要な考え方になります。
AI Builder 〜人工知能の力をアプリに組み込もう!〜
AI Builderは、Power Platform内でAI機能を簡単に実装するためのAIツール群です。以前は個別のAI機能として提供されていましたが、現在は統合されたAI Builder機能として利用できます。
専門的なAI開発の知識がなくても、高度な人工知能機能をアプリやフローに組み込むことが可能になります。
主な特徴
- 画像やPDFからのテキスト抽出機能により、紙の書類やスキャンデータから自動的に情報を取得できます。
- 写真内の物体検出機能を使って、画像に写っているものを自動的に識別することが可能です。
- 予測モデル機能により、過去のデータから将来の傾向を予測することができます。
- データの自動カテゴリ分類により、大量の情報を整理して分析しやすくすることが可能です。
AI Builderを活用することで、専門的な機械学習の知識がなくても、高度なAI機能をビジネスプロセスに組み込むことができます。
例えばPower Automateで受け取った請求書をAI Builderで解析、必要な情報の抽出を行いDataverseに保存する。そのデータを基に支払い処理を自動化するといった、インテリジェントな業務プロセスを実現することが可能です。
AIの力を簡単に活用することで、これまで人手に頼っていた判断や処理を自動化し、より高度な業務効率化を実現できます。
Power Platformの活用メリット 〜導入で得られる5つの効果〜
Power Platformを導入・活用することで、以下のメリットを得ることができます。
- ビジネス部門のエンパワーメント
- IT部門以外のビジネス部門のユーザーが、自らの業務課題を解決するためのツールを開発できます。
現場の知識を直接活かした業務改善が実現し、IT部門への依頼・待機時間が短縮されます。アイデアを素早く形にできる環境が整い、現場主導のDXが促進されます。
- IT部門以外のビジネス部門のユーザーが、自らの業務課題を解決するためのツールを開発できます。
- 開発の迅速化と効率化
- 従来の開発手法と比較して、開発期間とコストを大幅に削減できます。
サービス間の連携処理が用意されているため開発期間が短縮され、素早いフィードバックと改善サイクルが実現します。開発資産の蓄積と再利用も可能になります。
- 従来の開発手法と比較して、開発期間とコストを大幅に削減できます。
- 既存システムとの統合
- 既存のMicrosoft製品だけでなく、様々なシステムと連携できる柔軟性を持っています。
Microsoft 365やDynamics 365との統合、既存システムの機能拡張が容易になり、全面刷新ではなく段階的なDX推進が可能になります。
- 既存のMicrosoft製品だけでなく、様々なシステムと連携できる柔軟性を持っています。
- セキュリティとコンプライアンス
- Power Platform は、企業のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件に対応できる設計になっています。
適切な権限管理、機密データの保護、ユーザーの操作履歴の記録と監視が可能で、エンタープライズレベルの安全性を確保できます。
- Power Platform は、企業のセキュリティポリシーやコンプライアンス要件に対応できる設計になっています。
- コスト効率と投資対効果
- サービスごとのライセンス購入が可能で、既存のMicrosoft365ライセンスとの併用もできます。
用意されたコンポーネントを組み合わせることで開発コストを削減でき、テンプレートを活用すればノーコード・ローコードで業務改善が実現できます。
- サービスごとのライセンス購入が可能で、既存のMicrosoft365ライセンスとの併用もできます。
Power Platformの導入ステップ 〜どうやって始める?〜
Power PlatformはPower AutomateやPower Appsなど複数のサービスがありますが、導入時に抑えておきたい考え方は共通しています。
それは、「小さく初めて、育てながら広げていく」というアプローチです。
また、一度作ったものをそのままにせず、「どうすればもっと良くできるか?」を考え続けることも重要です。そのためには、一度作ったものをそのままにせず、「どうすればもっと良くできるか?」を考え続けることも重要です。
導入の進め方として、の一例をご紹介
- 現状分析と目標設定
- どんな課題をどう変えたいのか、目的をはっきりさせる。
- 環境とガバナンスの設計
- 安心して使い始められるよう、最低限のルールを整える。
- パイロットプロジェクトの実施
- 最初はシンプルなユースケースから、小さく始めてみる。
- 人材育成と組織文化の醸成
- 活用できる人を増やし、チーム内にノウハウを広げる。
- 段階的な展開と継続的改善
- うまくいった経験をもとに、少しずつ社内に広げていく。
Power Platformの活用事例 〜実際にどう使われている?〜
「本当に使えるの?」「うちの業務にも役立つのかな?」――そんな疑問をお持ちの方は、まずは実際の導入事例を見てみるのがおすすめです。
Power Platformは、製造業・小売・金融・自治体など、あらゆる業種で活用が広がっており、現場の“ちょっとした困りごと”をスマートに解決するツールとして選ばれています。
日々の業務を支える現場の声や、導入によって得られた成果が紹介されているので、きっと自社に置き換えてイメージしやすくなるはずです。
▼Microsoft公式の活用事例が公開されています。
https://www.microsoft.com/ja-jp/customers
最新情報をキャッチアップするには???
Power Platformは、Microsoftによって常に新しい機能が追加され、改善が続けられている、「生きた」プラットフォームです。
そのため、最新の情報を追いかけ、知識をアップデートし続けることが、そのメリットを最大限に活用する上で非常に重要になります。
でも、「どうやって最新情報を手に入れればいいの?」と不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんね。ご安心ください!ここでは、信頼できる情報源と、効果的な情報収集の方法をご紹介します。
公式情報をチェックしよう!
まずは、Microsoftが公式に発信している情報を押さえることが基本です。情報の正確性と信頼性はピカイチです!
私達も日々チェックをしています
- Microsoft Power Platform 公式サイト:
- 製品概要、価格、導入事例など、基本的な情報が網羅されています。まずはここから全体像を掴むのがおすすめです。
- https://www.microsoft.com/ja-jp/power-platform/
- Microsoft Learn :
- 無料の学習コンテンツの宝庫です!チュートリアル、ドキュメント、ラーニングパスなどが豊富に用意されており、初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせて体系的に学ぶことができます。
- https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/
- Power Platform Blog:
- 新機能の発表、アップデート情報、活用テクニックなどがタイムリーに発信されます。開発者や管理者の方は、定期的にチェックすることをおすすめします。
- https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/
コミュニティや信頼できる情報源を活用しよう!
一人で情報を追うだけでなく、コミュニティや専門家と交流することで、実践的な知識やヒントが得られます。Power Platform Communityでは質問や回答を通じて多くの学びがあり、ユーザーグループやMicrosoftイベントでの交流も有益です。
また、Microsoft MVPやパートナー企業の発信するブログ・セミナーも信頼性の高い情報源です。ニュースレターや技術系メディアもあわせてチェックすると、効率よく情報収集ができます。
まとめ:Power Platformの可能性
みなさん、ここまでPower Platformの世界をご案内してきましたが、いかがでしたか?きっと「こんなことができるんだ!」と、新しい発見があったのではないでしょうか。
Power Platformは、難しいプログラミングの知識がなくても、業務の自動化やアプリ開発、データ分析、AIの活用ができる、非常に便利な道具箱であると理解いただけたのではないでしょうか?
私たちソノリテは、そんなPower Platform活用のガイド役として、いつでもそばにいます。「最初の一歩をどう踏み出せばいいの?」「うちの会社ならどんな使い方がぴったり?」「こんなことできるかな?」など、どんな小さな疑問でも大歓迎!まるで、旅の相談所のように、あなたにぴったりの道案内をします。
さあ、Power Platformという魔法の道具箱で、あなたのビジネスをもっと楽しく、もっと効率的に、もっとクリエイティブに変えていきましょう!
ソノリテ の Power Platform の活用支援サービスの内容はこちらのページからご確認いただけます。
また、Power Automate の活用でお困りのことがありましたら、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。