みなさん、こんにちは! 日々の業務効率化やデジタルトランスフォーメーションを進めたいとお考えではありませんか?
Microsoft Power Automate という便利なツールの導入を検討されている方々にとって、「結局いくらかかるの?」、「ライセンスの準備ってなにすればいいの?」という非常に大きなお悩みがあるのではないでしょうか?
この記事では、Power Automate にかかる費用について、わかりやすく、かつなるべく網羅的にご紹介します。
料金体系が複雑過ぎて「どう説明しよう…」と頭を抱えてしまっている方も、「この投資、本当に価値があるの?」と判断に迷われている方も、ぜひ参考にしてください!
Power Automateの料金体系 〜あなたに合った選び方〜
Power Automate には、クラウド上のサービス連携を実現するクラウドフローと、PCのデスクトップ操作を自動化するデスクトップフローの2種類があります。
基本的には Power Automate Premium を使うのが推奨されていて、特定のユースケースにおいて Power Automate Process を使うことがあります。
Power Automate でできることについてはこちらの記事で学ぶことができます。
フロー種別とライセンスプランの一覧表
フロー種別 | プラン | できること | 詳細 |
クラウドフロー | 無料版 | 標準コネクタのみ利用可能 | Outlook, Teams , Share Pointコネクタ,一部のSaaS用コネクタなどが利用可能 |
クラウドフロー | Power Automate Premium | プレミアムコネクタが使える | Httpコネクタや、各種SaaS用コネクタが利用可能 |
デスクトップフロー | 無料版 | 手動実行のみサポート | 手動実行+自分のPCであれば可能 |
デスクトップフロー | Power Automate Premium | プレミアムコネクタが使える | デスクトップフローからM365などのコネクタが使えるようになる |
デスクトップフロー | Power Automate Process | 無人実行・スケジュール実行が可能 | Power Automate Premium の機能+ 無人で動かせるようになる |
Power Automate Premium に加えて、Power Automate Process というプランが出てきましたね……これらの違いについても記事中で説明します。
Power Automate の料金体系は、大きく分けて「サブスクリプションプラン」(定額制)と「従量課金制プラン」(使った分だけ支払う方式)の2種類があります。
料金体系の違いは以下のようになっています。
料金の支払い種別
支払い種別 | 支払い方法 | ライセンス購入方法 |
月額定額制 | 請求書またはクレジットカード | Microsoftか販売代理店から購入 |
従量課金制 | Azure課金に合算 | Azure Portal |
Power Automate の料金体系や、各種プランの詳細は、Microsoft が公開している「Power Platform ライセンスガイド」を確認してください。
こちらのページから確認が可能です。
無料枠 ~Microsoft 365に含まれててすてき~
Microsoft 365 のサブスクリプションには、Power Automate の基本機能が含まれているんです!
無料枠でできること
- 基本的なクラウドフローの作成と実行
- 標準コネクタの利用
「え、今使っている Office のサブスクリプションで、追加料金なしで Power Automate が使えるの?」といううれしい発見があるかもしれませんね。
まずは、お使いの Microsoft 365 のプランを確認してみてください!
有償サブスクリプションプラン 〜定額で安心、使い放題〜
有償サブスクリプションプランは、月額や年額で固定料金の支払いが発生します。
無料プランで使えなかった機能が使えるようになるため、実現したい要件によってはこのライセンスが必要になります。
Power Automate Premium でできること
Power Automate Premium で有償プランでは、無料枠の機能の他に以下の機能が有効化されます!
ライセンスが有効になると、クラウドフロー、デスクトップフロー両方に適応されます。
- 主な特徴
- ライセンスはMicrosoft 365のユーザーIDごとに割り当てる形式です
- Premium コネクタと呼ばれる、Salesforceや Oracle DBなどの外部サービスと連携できるようになったり、HTTPリクエストの送信ができる特別なコネクタが使えます
- AI Builderが使えるようになります。人工知能の力を借りた高度な処理が実現できます
- オンプレミスに構築された基幹システムのデータベースと連携する仕組みが利用できます
月額料金 : 2,248円/ユーザー
*現行の価格は[こちらのページ]から確認ができます
Power Automate Premium は、「あのシステムとこのシステムをつなげたい」という連携ニーズがある場合や、ちょっと高度な自動化を実現したい場合におすすめです。
また、「チームの中で何人かが Power Automate を使いこなして、みんなの業務を楽にしたい!」という場合にぴったりです。
Power Automate Process ~Power automate Premium とのちがい~
デスクトップフローをつかっていくと、毎朝自動で動いてほしいとか、サーバー上で処理をやってほしいみたいな話が出てきます。
そういうときはPower Automate Process を利用することでスケジュール実行が可能になります。
例えば、毎日大量のデータ入力をしなければならない、その作業で時間が吸われてしまっているときなどに、夜の間に黙々と作業してくれるようになります。
- 主な特徴
- デスクトップフローで使用する場合、ライセンスは基本的に端末に割り当てる形式です。
- 1台のパソコンで、デスクトップ上の作業を自動化する「デスクトップフロー」を無制限に実行できます
- 夜間に処理を実行するなどの、実行タイミングの制御が可能です
- プレミアムコネクタが標準コネクタに加えて利用できます
- AI Builderも利用可能です
月額料金 : 22,488円/ボット
*現行の価格は[こちらのページ]から確認ができます
** 1ボットライセンスあたり1処理しか実行できないという制約があります。複数の処理を並列で実行したい場合、複数のライセンス、実行環境(端末)の用意が必要です。
従量課金制プラン 〜使った分だけ、ムダなく支払い〜
従量課金制プランは、Power Automate の利用状況に応じて、実行単位で料金が発生するプランです。
月額課金プランと異なり、Azure サブスクリプション経由での支払い処理が実行されます。
従量課金プランを利用する場合でも、クラウドフロー・デスクトップフロー共に有償ライセンスの機能を利用することが可能です。
従量課金プランを利用するメリット
- 課金対象を「環境」単位で設定します
- PoCなどの際は実行数も少ないため、利用料金を減らせる
- Azure の請求と一元管理することができる
デメリット
- Azure サブスクリプションの準備が必須
- 実行回数が莫大になると Premium ライセンスより割高になる可能性がある
課金ロジックの仕組みを知ろう
従量課金の仕組みをもう少しだけ詳しく見てみましょう。
従量課金の集計ロジックは、クラウドフロー・デスクトップフロー共に処理を実行した回数が対象になります。
フローの種類によって単価が異なっているため注意が必要です。
基本的にはフローの実行回数の合計に応じて料金が請求されるとイメージしましょう。
クラウドフローの実行、Power Platform 要求の実行単価や、費用の詳細については公式サイト(従量課金制メーター)で確認が可能です。
従量課金プランは、ユースケースによっては費用の面で効果的な場面が出てくる可能性があるのですが、管理工数の増加リスクなどを加味した適切なプラン選択が必要になります。
導入コストの考慮点 〜見えないコストにも目を向けよう〜
Power Automate の導入を検討する際は、ライセンス料金だけでなく、他にもいくつか考えておきたいポイントがあります。
初期費用や、運用・保守、教育・利活用推進などが考えられますね。
初期設定・開発コスト 〜始めるための準備にかかる費用〜
Power Automate は比較的簡単に始められるツールですが、効果的に活用するためには初期設定や開発が必要です。
長い目で見ると、運用フローを整備しておくと色々と嬉しい場面も出てきます。
- 例えば、以下のようなコストが発生する可能性があります:
- 内部の開発リソース : 社内の方々がフロー開発に費やす時間と労力
- 外部コンサルティング費用 : 専門家に導入支援やフロー開発を依頼する場合の費用
- トレーニングコスト : 社内スタッフが新しいスキルを身につけるための教育費用
運用・保守コスト 〜長く使い続けるために必要な費用〜
導入後や各部門に展開が完了し、エンドユーザーが増加すればするほど、継続的に発生するのが運用・保守のコストです。
例えば、以下のようなものが考えられます:
- 管理・監視コスト : 「自動化の仕組みが正しく動いているか」を確認したり、問題が起きたときに対応したりするための人的・システム的リソース
- アップデート対応 : Microsoft が仕様を変更したときに必要になる修正作業
- 拡張・改善コスト : 業務フローが変わったときに、フローの改修にかかる費用
フローの作成者が行方不明になってしまった「野良フロー問題」の対策記事があります。ご参考ください。
費用対効果の分析 〜投資は回収できる?その価値を考えよう〜
「お金をかけるけど、それ以上の価値があるの?」という疑問は当然ですよね。
Power Automate への投資が本当に価値あるものかどうか、人件費の削減というのが目につきやすいですが、システム化を行うと得られることという視点から考えてみましょう。
時間削減効果 〜定量的な評価指標を考える〜
定量的な評価指標として、時間削減効果を算出することが可能です。
業務プロセスの自動化によって、従業員が日々行っている繰り返し作業の工数を削減できます。
これにより、時間的な余裕が生まれ、限られたリソースをより重要な業務に振り向けることが可能になります。
また、時間の削減はそのまま人件費やコストに換算できるため、投資対効果(ROI)の算出もしやすく、定量的な評価が行えるのも利点です。
品質向上効果 〜ミスがなくなる価値〜
人が関わる以上、うっかりミスや対応のばらつきは避けられません。
自動化によって「いつも通り正しく動く仕組み」ができると、作業の不安がぐっと減り、ミスや漏れに振り回されない安心感が生まれます。
これは単なる効率化にとどまらず、属人化をなくして業務を仕組み化していくこと——つまり「小さなDX」の第一歩でもあります。
DXの実績を得られることで、現場に自信と安定感をもたらす効果は、数字以上に大きいかもしれません。
従業員満足度向上 〜働きやすさの向上がもたらす効果〜
毎日同じ作業の繰り返しに追われていると、時間だけでなく気力もすり減ってしまうものです。
自動化によってそうした作業から解放されることで、「本来やるべき仕事」に集中できる余裕が生まれ、働く上でのストレスも減っていきます。
さらに注目すべきは、現場の従業員自らフローを作成していく場面で真価を発揮します。
これはまさに、DX人材に必要な視点やスキルを「実際の業務と地続きの形で」育てる機会となります。
外部研修や座学だけでは身につかない、“業務改善に直結する実践的なスキル”を、日常の中で学べるのです。
「現場の自律と成長を促進しながら、DX推進の人材基盤をつくる投資」として、業務自動化を位置づけることが、重要になってきます。
導入するときって何すればいいの? 〜ウチはどうすればいい?〜
企業の規模や導入範囲によって、Power Automate の導入コストは大きく異なります。
以下に、いくつかのシナリオをご紹介します。ご自身の状況に近いものを参考にしてみてください。
業務部門の方へ
まずは「使っていいか」IT部門に確認を!
ここまで検討されているということは、「Power Automate 使ってみたい!」という気持ちが非常に高まっていませんか?
それはとても素晴らしいことですが、社内のルールやセキュリティポリシーを無視しての独自導入は、リスクの温床にもなりかねません。
まずは一度、自社のIT部門に利用方針や導入可否を確認しましょう。
安全に活用していくためには、IT部との連携が何より重要です。
ソノリテでは、事業部門における Power Automate の活用推進をお手伝いする「おとえす」というサービスを提供しています。
「自分たちでやろうとしたら詰まってしまった!」、「設計の壁打ち相手をやってほしい」などのお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。
IT部門・DX推進担当の方へ
「小さく始めて、統制の効いた展開を設計する」ことが成功の鍵!
Power Automate は現場での業務改善に直結する一方で、野良フローやデータガバナンスの課題を引き起こすリスクもあります。
だからこそ、まずはIT部門がパイロットを企画・主導し、スケーラブルかつ安全な展開ルールを整備することが重要です。
ライセンスの選定、テンプレート提供、権限管理、支援体制など、「現場の自律と統制の両立」を見据えた仕組みづくりが求められます。
ID・ライセンス管理の設計
まず検討が必要なのが、「誰に、どのライセンスを割り当てるのか」という点です。
Power Automate では、個人に割り当てるライセンスに加えて、複数人で共通利用するような **サービスアカウントやボットアカウント** をどう管理するかもポイントです。
たとえば、パスワードの更新ルールやアクセス制御の考え方を事前に整理しておく必要があります。
また、Power Platform 管理センターや Azure サブスクリプションとの連携設計も重要です。 ライセンス管理や請求、実行ログなどを一元的に確認・管理するための設計が必要になります。
パイロットプロジェクトの選定と推進体制の構築
「全社導入を一気に進める」よりも、まずは スモールスタートで始めて、実際に効果が出るかを見極めるのがおすすめです。
たとえば、協力してくれる部署を募り、申請処理やファイル保存など、比較的範囲が限定されていて再現性の高い業務を選定すると効果が見えやすくなります。
この段階では、「どれくらいの作業時間が減ったか」「ミスが減ったか」「現場での評価はどうか」といった 効果検証の指標もあらかじめ決めておくと、導入の説得力が増していくのではないでしょうか?
さらに、現場からの質問や相談に対応するための 連携ルールや窓口も、IT部門として整えておくことが大切です。
内製か外部支援を活用するかの判断
自動化フローの作成を自社の社員が自ら構築する「内製」で進めるのか、「経験豊富なベンダーやパートナーのサポートを受けて」進めるのか、方針を明確にしましょう。
PoC(Proof of Concept:概念実証)など、まずは効果検証をしたい場合には、Microsoft が提供しているテンプレートや、既存の成功事例を活用することで初期の構築コストを抑えることが可能です。
また、クラウドや社内システムとの接続、データベースへのアクセス設定、実行アカウントの権限設計など、技術的なハードルも多いため、体制に応じて適切な支援体制を整えておくことが求められます。
現場教育・支援の仕組みづくり
最後に見落とされがちなのが、導入後の 「現場を支える仕組み」です。導入初期は IT 部門が伴走するケースが多いですが、運用が広がるとすべてを IT 部門だけで対応するのは難しくなります。
そのため、社内向けのマニュアル整備や eラーニング、よくある質問のまとめなど、現場が自立的に取り組める環境を用意しておくと安心です。
また、あらかじめ「どこまでを IT 部門が支援するか」「どの範囲は現場で対応してもらうか」といった役割分担の線引きを明確にしておくことで、導入後の混乱を防ぐことができます。
まとめ 〜業務自動化を、身近で現実的な一歩から〜
Power Automate は、日々の業務の「ちょっとした手間」を自動化することで、作業時間の削減やミスの防止につながるツールです。
Microsoft 365 と連携すれば、すでにお使いの環境を活かしながら、コストを抑えて導入することもできます。
もちろん、導入にはライセンス費用だけでなく、初期の構築や運用にかかる手間も含めて考える必要があります。
でも、「どこから始めればいい?」「うちの規模でも効果ある?」といった不安も、スモールスタートや既存機能の活用といった工夫で、無理なく乗り越えていくことができます。
ソノリテでは、 Microsoft 365 専業の立場から、現場でよくある課題や困りごとに寄り添いながら、お客さまに合った Power Automate の活用方法をご提案しています。
たとえば
- 「定型業務に追われて、本来の仕事に集中できない」
- 「作業ミスを減らして、お客さま対応の質を上げたい」
- 「チームの働き方を見直したいけど、どこから手をつければいいかわからない」
そんな思いがある方は、ぜひ一度ご相談ください。
ソノリテ の Power Platform の活用支援サービスの内容はこちらのページからご確認いただけます。
また、Power Automate の活用でお困りのことがありましたら、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。